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〈書名、編著者名、出版社名、刊行年、解説。1963以降の刊行年順に収録〉
『熊百訓』阿部泰三(さんおん文学会1963年)
62年の十勝岳噴火では降灰の影響と見られるヒグマ出没が各地であり、災害派遣で出動する自衛隊員向けに北部方面総監部の阿部が書いたハンドブック。
『熊・クマ・羆』十勝毎日新聞社編(時事通信社71年)
70年の福岡大ヒグマ遭難事故をきっかけにした対ヒグマ闘争史。数々の悲劇、狩猟者の体験談、アイヌ民族の猟師たちのほか各地のよもやま話。
『南部シベリアのヒグマとツキノワグマ――その比較生物学的研究』G・Fブロムレイ(北苑社72年)
ヒグマとツキノワグマの分布が重なる南部シベリアで、2種のクマの形態、住み場所、食性、習性などを比較、それぞれの生活様式を明らかにし、クマ類の保護管理の具体策を提案する。
『北海道熊物語(復刻版)』寒川光太郎著(山音文学会73年)
「実話と調査資料と小説の混血」という小編5編は、開拓民やアイヌの人々と、ヒグマとの事件簿。各地に伝わる説話、熊の語源、聴覚や嗅覚、視覚などヒグマの5感など、昭和24年当時のヒグマ観を伝える。
『ツキノワグマの話』渡辺弘之(NHKブックスジュニア74年)
樹皮をはいでかじる「クマハギ」の被害を防ぐ研究を始めた筆者が、生態や習性、調査の方法などを紹介し、クマも住める豊かな森林を残そうと提案する。
『北海道の自然保護 その歴史と思想』表浩三(北海道大学図書刊行会79年)
急速に進められた北海道開発と、その反作用の自然保護意識の系譜をたどりながら、北海道の代表的な野生動物の消長を追う。
『エゾヒグマ―その生活をさぐる』北大ヒグマ研究グループ(汐文社82年)
北大クマ研が12年間の調査研究の集大成。各フィールドで追い続けた足跡や食痕、発信器による調査等々から、ヒトとヒグマの関係まで。
『エゾヒグマ百科―被害・予防・生態・故事』木村盛武(共同文化社83年)
林務官が経験したヒグマとの遭遇、同僚たちの被害、明治以降の5大惨劇の詳細とその原因を解き明かす。身を守る予防策や注意事項、ヒグマの習性や生態のほか、ヒグマに関するよもやま話、古文献も紹介する。
『野生のヒグマK子』小田島護(創隆社84年)
80年から始めたヒグマK子親子の観察を中心にしたレポート。子グマの独り立ちを確認した直後に射殺された事件は、北海道初の「ヒグマ保護」の要望に結び付いていった。
『ヒグマ―身近になったその生態』斉藤禎男編(思索社86年)
のぼりべつクマ牧場発行の雑誌「ヒグマ」で続いた座談会。生態や生理、発信機調査の試み、アイヌ民族の穴グマ猟など。姉妹編『ヒグマ―その人間との関わり』には、野生ヒグマの将来と保護、福岡大遭難事件の背景など。
『北海道の自然・ヒグマ』犬飼哲夫・門崎允昭(北海道新聞社87年)
進化と分布、身体と生態、アイヌ民族とヒグマ、明治以降のヒグマ政策も。
『クマに会ったらどうするか―陸上動物学入門−』玉手英夫(岩波新書87年)
クマなどほ乳類を中心にした陸上動物の3億年の進化の物語と、食・住を中心とした行動様式やその生理・生態的適応を紹介。
『野生の事件簿―北の動物たち』木村盛武(北海道新聞社89年)
苫前ヒグマ事件生存者などの証言をもとにした事件の真相、津軽海峡を泳ぎ渡ったエゾシカ、エゾオオカミ絶滅の理由など、12種の動物のエピソードも。
『世界のシカ・クマ保護管理の現状と北海道の将来方向』大泰司紀行・梶光一・間野勉編(野生生物情報センター90年)
国内外のシカ、クマ類専門家によるシンポジウム報告書。シカによる農業被害の激増、減少するヒグマの問題にどう対処するか、わが国の野生動物保護管理の教科書。
『北の森にヒグマを追って―ヒグマ研究にかけた情熱』青井俊樹(大日本図書91年)
電波発信器でヒグマの行動追跡を試みた北大ヒグマ研究グループの報告。ヒグマの生態も分かりやすく紹介している。
『日高の動物記』桑原康彰(南雲堂93年)
野生動物の10年間の観察記録、ハンターや住民らの寄稿など。シリーズに大雪山、阿寒、知床編も。
『北海道野生動物の痕跡を読む』エコ・ネットワーク編(北海道新聞社94年)
写真をふんだんに使って、足跡や糞、食痕、巣など野生動物の活動痕を6章に分類し、山野を歩く楽しさへ招待してくれる。
『慟哭の谷』木村盛武(共同文化社94年)
死者8人重傷2人の惨劇となった苫前村ヒグマ事件の50年後に、生存者や遺族、討伐隊員など30人余から聞き取った事件の経過と教訓。
『ツキノワグマを追って』米田一彦(小峰書店94年)
発信器を使い、行動や生態をどう調べるか、写真と図を使い青少年向けに説明する。繁殖と越冬に必要な天然林が消滅していく現実にも警鐘を鳴らす。
『春告獣 ヒグマのことがわかる本』木村盛武(共同文化社95年)
春告魚(ニシン)があり春告鳥(ウグイス)があるのなら、ヒグマに春告獣を献じよう。ヒグマにまつわる話、文学、生態、あらゆることがわかる本。
『クマとナマコと修学旅行』盛口満(どうぶつ社95年)
埼玉県の生物教師が、秋田県で生徒たちと見つけたツキノワグマの冬眠穴や糞。案内役だった米田一彦さんの調査地でのクマ捕獲などの愉快な体験記。
『山でクマに会う方法 これだけは知っておきたいクマの常識』米田一彦(山と渓谷社96年)
日本のクマ研究に次々と新しい手法を導入してきた筆者が、誤解だらけのクマの実像を伝えるためまとめた実践手引書。
『北海道 森と海の動物たち』エコ・ネットワーク編(北海道新聞社97年)
北海道で見られる野性の哺乳動物を網羅し、北国に生きる野性の匂いや鼓動が伝わってくるビジュアル・ガイド。
『四季・クマの住む森』米田一彦(中央法規出版97年)
赤ちゃんと母グマがいる冬眠穴、クマから養蜂箱を守る実験、過疎集落に現れるクマと住民の関係、なぜクマが絶滅の危機にいるのか児童向けにまとめた。
『クマよ』文と写真・星野道夫(福音館書店98年)
96年にヒグマに襲われて死去した星野の遺稿とメモをもとにした写真集。春から晩秋まで大自然の中のクマたちとの、星野しか保てない距離感の世界。
『生かして防ぐクマの害』米田一彦(農山漁村文化協会98年)
被害は増えているが絶滅寸前。クマはなぜここまで追いつめられたのか。強くて弱いクマの正体、被害対策の基本戦略を、中国山地の現場から説く。
『ヒグマと人間 身近なクマとわたしたち』苫小牧民報社編集局編(苫小牧民報社98年)
苫小牧周辺で97年春、相次いだヒグマの出没騒動の一連の報道と、同年開かれたヒグマフォーラムの報告。
『ヒグマの原野 森の新聞』青井俊樹(フレーベル館98年)
96年に勇払原野で捕獲したオスのヒグマ「トラジロウ」に発信機をつけ、2年間にわたって行動を観察した追跡調査をまとめたドキュメント。
『ツキノワグマのいる森へ』米田一彦(アドスリー99年)
エピソードから痕跡調査、定点観測、調査のための捕獲から追跡を、写真や図を使って紹介している。捕獲の際の身体検査、形態的特長、戸籍調査も楽しい。
『ベア・アタックスT、U』スティーブン・ヘレロ(北海道大学図書刊行会2000年)
米国内の多くの人身事故から、クマはなぜ人を襲うのかを詳細に分析する。カムチャツカで死亡した写真家、星野道夫の事故原因も言及。
『知床のほ乳類U』斜里町立知床博物館編(北海道新聞社01年)
高密度のヒグマ生息地・知床のヒグマの生態。若いヒグマに、車から投げ与えられた1本のソーセージが引き起こした悲しいエピソードも。
『熊と向き合う』栗栖浩司(創森社01年)
絶滅の危機にあるツキノワグマ。その保護を叫ぶ人、深刻な被害にさらされている人たちがいる。クマ問題の核心と対策を提起する。
『ヒグマ―そこが知りたい』木村盛武(共同文化社01年)
自身の体験や過去の事件とその教訓、ヒグマの生活圏を示す様々な痕跡を列挙。「死んだふり」説の出処や、遭遇して難を逃れた具体例も。
『クマにあったらどうするか』姉崎等(木楽舎02年)
アイヌ民族最後のクマ撃ち猟師が語る、狩人の知恵とクマの知恵、本当のクマの姿、アイヌ民族に伝わる狩猟の実際、クマにあったらどうするかなど。
モーリー13『ヒグマ考 陸の王者の博物誌』北海道新聞野生生物基金(北海道新聞社05年)
北の大地に君臨してきたヒグマに、われわれはどんな未来を用意できるのか。切迫する生息環境、共生への模索など11人が執筆。
『ヒグマが育てる森』前田菜穂子(岩波書店05年)
ヒグマと人間との共存のために何が必要か。明治以降の絶滅政策から、道内や全国各地に広がっているクマ保護管理の取り組み、世界の動向。
『よいクマわるいクマ 見分け方から付き合い方まで』萱野茂・前田菜穂子(北海道新聞社06年)
ヒグマと遭遇しないための基礎知識と実際編、応用編、海外編、ヒグマと上手に付き合ってきたアイヌの知恵。
『ツキノワグマ』宮崎学(偕成社06年)
騒音や人を恐れない新世代ベアーズが増えている。なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか。長野県を舞台に、その変化を見つめ続けてきた動物写真家が、その謎に迫る。
『ヒグマ学入門 自然史・文化・現代社会』天野哲也・増田隆一・間野勉編著(北海道大学出版会06年)
北大総合博物館が開講した「ヒグマ学入門」の講師陣ら20人が分担執筆した16章。ヒグマはどういう生きものか、共存していくために必要な人類社会そのものの「改善」の道筋を探る。
『マタギ 矛盾なき労働と食文化』田中康弘(竢o版社09年)
クマやウサギ、川魚、キノコなど山の様々な恵みを得て命をつなぐマタギ。秋田県阿仁地区のマタギたちの猟や生活を撮影した16年間の記録と写真。
『羆撃ち』久保俊治(小学館09年)
20代でクマ撃ちを始めた猟師の半生記。自然にとけ込むような存在と化して初めて獲ったヒグマ。獲物となった野生の命に対する責任感。猟犬フチとの信頼関係。米国の狩猟ガイド養成学校への留学と、帰国後に見た標津町の山の変容など。
『シートンさんのどうぶつ記』谷村志穂・訳、吉田圭子・絵(集英社09年)
代表作「オオカミ王ロボ」を含む6編を子供向けに監訳。子ギツネを守るため死を覚悟して戦う母ギツネ、仲間を守った偉大なカラスのリーダーの物語や、母グマに置き去りにされた子グマの運命など。
『熊のことは、熊に訊け。』 岩井基樹(つり人社10年)
『ベア・アタックス』から10年。若き日より筆者がアラスカの原野で培った対ヒグマ・リスクマネジメントを、北大雪山塊で北海道に最適化。独特の視点で惜しみなくまとめ上げたベアカントリーを悠々と歩くためのスキル。
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